建設スタートから完成までは年単位

建物の建築において、マンションは当初の建設計画でも年単位ですが、途中で調査が入ると遅延期間も年単位になることがあります。
奈良は西暦700年代からの古い歴史がありますので、工事を始めると遺構が出てくるケースが多いです。
遺構とは、昔の構築物の跡の意味で、出てきた時すぐにそれが何か分かる事はまずないので、専門家の調査が入ります。
ここで工事は一旦ストップです。
この遺構調査も結構時間がかかります。
何か月かけて調べて、歴史的に重要でない遺構と確認されれば、工事が再開です。
建設業者はこの間に、住民説明会で遺構調査で工事がストップする事や、全体の建設期間が延びることを説明します。
また、マンション購入者にも、その旨を説明しなければなりません。

調査中、近隣住民やマンション購入希望者は、遅延にため息をつきながら、何が出てくるのだろうとワクワクします。
歴史多き奈良は他の地域と比べれば重要な遺構の出土が多いとは言え、しょっちゅう歴史的に重要な遺構が出てくるわけではないのです。
工事遅延はイヤだけど、未知な遺構に気持ちを踊らされながらも、建設に問題ない遺構と判断されるケースが多く、すごろくゲームで振り出しに戻るイメージとなります。
歴史的に重要な物は土器や石器など、小さな物であるケースも多いです。
それでも出てくると、この土地で自分達の遠い祖先が地味ながらも美しい歴史を築いてきた事に感動を覚えます。
その歴史を子供世代に伝える事も重要です。

調査の後は再び工事がスタートします。奈良県の建設業者は工事再開までに新たな計画書を近隣住民やマンション購入希望者に提示しなければなりません。
また、警備員の配置から、大型工事車両の通過時間帯の指定など、建設会社は関係する業者や人すべてに経過や計画の報告が必要です。
その間にクレームが来た時にはクレーム対応にも追われます。
中には細かいクレームを言う人もいますし、外部の業者に指示をしても守られない事がありますので、建設時に予想外のトラブルは付き物です。

外部の私達から見ると、建設会社の営業さんは本当に大変で、主人も「俺にはあの仕事は無理だ」と言います。
メンタル持たないだろうなぁと思いますが、慣れていらっしゃるのか、見事に収拾がついているのです。
近隣住民で結成している自治会の担当者によっても、建設会社の苦労は変わります。
感情的になりやすい人もいれば、双方の身になって考える人もいるからです。
担当者が前者だった場合はひたすら聞く姿勢を見せないと大変ですが、後者の場合は、比較的スムーズに物事が運びます。
多くの自治会は年毎に会長が変わりますので、必要に応じて譲歩したり、お互いにメリハリをつけたお付き合いをするとマンション建設はうまく進みそうです。

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